マスキング塗装で色がにじんだ人の8割は、テープの貼り方がそもそも間違っている。
「やってみたけど境界線がボケた」「塗料が染み込んで台無しになった」——そういう声、めちゃくちゃ多い。でも実は、正しい手順さえ踏めばマスキング塗装は難しくない。むしろ、1色塗りの次に覚えてほしい最初のテクニックだ。
この記事では、マスキングテープを使った2色塗り分けの手順を、道具選びから貼り方・塗装順・仕上げまで徹底解説する。初めて挑戦する人でも、手順通りにやればシャープな塗り分けラインが出せるようになる。序盤で道具の選び方、中盤で実際の手順とよくある失敗パターン、後半にはQ&Aも入れたので、最後まで読んでみてほしい。
マスキング塗装がうまくいかない本当の理由
まず「なぜ失敗するのか」を理解しておこう。原因を知らずに何度やっても同じ結果になる。
テープの種類選びを間違えている
ホームセンターで売っている養生テープや一般の紙テープは、ガンプラには使いにくい。粘着力が強すぎてパーツの塗膜が剥がれたり、逆に弱すぎて塗料が毛細管現象で染み込んだりする。ガンプラのマスキングには専用のモデリングマスキングテープを使うのが基本。
代表的なのはタミヤの「マスキングテープ」シリーズで、6mm・10mm・18mm・40mmの幅展開がある。曲線に沿わせやすい6mmと、広い面積を覆う18mmを組み合わせるのが定番の使い方だ。
塗装面の下地処理が足りていない
ゲート跡が残ったまま塗装すると、テープが浮いてそこから塗料が入り込む。マスキング塗装の前には、ゲート処理のやり方をしっかり済ませておくこと。表面がツルッとしていればいるほどテープが密着して、にじみが出にくくなる。
塗装の順番が逆になっている
2色塗り分けは「明るい色→暗い色」の順番で塗る。暗い色を先に塗ってしまうと、上から明るい色を重ねたときに透けてしまい、発色が安定しない。これはやりがちなミスなので必ず頭に入れておいてほしい。
マスキング2色塗りに必要な道具リスト
揃えておくべき道具を整理する。全部で5〜7点あれば十分だ。
テープ・マスキング系
まず揃えてほしい順にリストアップする。
- タミヤ マスキングテープ 6mm(曲線・細かいライン用の基本)
- タミヤ マスキングテープ 18mm(直線・広面積用)
- GSIクレオス マスキングゾル NEO(複雑な形状・凹部・曲面の液体マスク)
- カッティングマット+デザインナイフ(テープを形状に合わせてカットするとき用)
- 爪楊枝または綿棒(テープのエッジを押さえて密着させるため)
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塗料・塗装系
- ガンダムマーカーまたは水性アクリル塗料(Mr.カラー水性・ファレホなど)
- 平筆・面相筆(筆塗りの場合)
- エアブラシ(本格的な仕上げを目指すなら)
- 塗料皿・希釈用薄め液(シンナー)
塗料はまず水性系から入るのがおすすめ。においが少なく扱いやすい。塗料選びの基準はガンプラマーカーの使い方で詳しく解説しているので参考にしてほしい。
その他の仕上げ用品
- 綿棒+エナメルシンナー(はみ出した塗料の修正用)
- ラッカー系クリアー(1色目の塗膜保護用)
- つや消しトップコート(最終仕上げ用)
道具選び全般で迷ったら、ガンプラに必要な工具リストでまとめて確認できる。マスキング関連の道具も含めて一覧になっているので、買い忘れがなくなる。
道具が揃ったら次のセクションの手順に進もう。
2色塗り分けの基本手順:7ステップで完成
ここが核心部分。順番通りに進めるだけで失敗が激減する。
ステップ1:ゲート処理と表面整備
まずパーツのゲートをニッパーで切り、320番→600番のペーパーヤスリで表面を整える。この段階で「テープがしっかり密着する土台」を作っておく。細かいゲート跡が残っていると、後でテープが浮いてにじみの直接原因になる。
ステップ2:1色目(明るい色)を全体に塗る
2色のうち明るい方(例:ホワイト・ライトグレー)を全面に塗る。筆塗りなら2〜3回重ね塗りして均一に発色させる。エアブラシなら塗料:シンナー=1:1.5の割合で薄め、3〜4回重ねる。1色目がしっかり乾燥するまで最低24時間待つ(水性塗料なら12〜16時間が目安)。
乾燥が甘いままマスキングテープを貼ると、剥がすときに1色目も一緒に剥がれてくる事故が起きる。ここはケチらずしっかり待つこと。
ステップ3:1色目の上にラッカー系クリアーを吹く(重要工程)
筆塗りや水性塗料で仕上げた場合、ラッカー系の2色目を上塗りすると1色目が溶けることがある。それを防ぐために、Mr.スーパークリアー(光沢)などラッカー系クリアーを薄く1〜2回コートしておく。これが塗膜の保護層になり、マスキングテープを剥がすときの塗膜割れも軽減できる。ただし、エアブラシがない場合は缶スプレータイプが手軽でおすすめ。
ステップ4:マスキングテープを丁寧に貼る
いよいよテープを貼る工程。以下の3点を必ず守ること。
- 境界ラインには細い6mmテープを最初に貼る。曲線部分は短く切ったテープを2〜3cmずつ少しずつ重ねながら沿わせる
- テープの端(エッジ)を爪楊枝の腹でしっかり押さえ、浮きと隙間をゼロにする
- 広い部分はその上に18mmテープや広めのマスキングシートを重ねて覆い、塗料の飛び散りを防ぐ
貼り終えたら、逆光でパーツを透かして浮きがないか確認する。浮きが見えたら押し直すか貼り替える。ここで妥協すると必ずにじむ。
ステップ5:2色目(暗い色)を薄く塗り重ねる
2色目(例:ダークグレー・レッド・ネイビー)を薄く何回かに分けて塗る。一度に厚塗りすると塗料がテープの端に溜まり、乾燥後に境界線が崩れる原因になる。薄め→乾燥→薄めを3〜4回繰り返すのが基本。
エアブラシの場合は、テープに対して斜め45度方向から吹きつけるのがポイント。正面から吹くと塗料の圧でテープが浮いてしまう。
ステップ6:半乾きのタイミングでテープを剥がす
2色目が半乾き(指で触れて色がつかない程度)になったタイミングで剥がすのが一番きれいに仕上がる。完全乾燥してしまうと塗膜が一緒に割れやすい。剥がす方向は「塗装した面に向かって」低い角度でゆっくり引っ張る。急いで引っ張るのは厳禁。
ステップ7:修正してトップコートで仕上げ
はみ出しがあればエナメルシンナーを含ませた綿棒で拭き取る。エナメルシンナーはラッカー・水性塗膜を侵しにくいので修正に向いている(ただし塗膜が薄い場合は侵食することがあるので優しくこすること)。
修正が終わったら、つや消し仕上げの方法でトップコートをかけて完成。2色のツヤ感が統一されて、ぐっと完成度が上がる。
手順を一度試したら、次は曲面パーツへの応用に挑戦してみよう。
こんな人におすすめ:活用シーン別ガイド
マスキング2色塗りが実際に活きる場面を具体的に紹介する。「自分もこれだ」と思ったシーン、きっとある。
シーン1:HGザクの肩アーマーを濃緑×ダークグリーンで塗り分けたい入門者
HGのザクはキットの成形色もカッコいいが、「もう一歩こだわりたい」と感じたとき真っ先に試してほしいのがこのテクニック。肩アーマーの上下で色を変えるだけでグッと立体感が出る。6mmテープをアーマーの縁に沿って貼り、18mmテープで広い部分を覆えば準備完了。作業時間は乾燥込みで2日ほどで、コストはテープ代のみ。初心者でも成功体験を積みやすいシーンだ。
シーン2:RX-78の胴体・腹部を白と赤でくっきり塗り分けたい中級者
RX-78の腹部パーツは白と赤の境界がモールドで分かれているので、マスキングテープを当てやすい。MGガンダムVer.3.0のレビューでも触れているが、この部分のシャープな塗り分けがMGの完成度を大きく左右する。モールドに沿ってテープの端を押し当て、デザインナイフで余分をカットすれば、成形色のラインよりもシャープな境界線が出る。
シーン3:胸部センサー・頭部バルカンを別色に仕上げたい人
1〜2cmの小パーツは筆塗りだと境界がぼやけやすい。こういう小さいパーツこそ、細い6mmテープで周囲を保護しつつガンダムマーカー1本で差し色を入れる方法が使いやすい。マーカーは乾燥が速いので、小パーツのアクセント塗りに向いている。
シーン4:既製品や過去に組んだキットをリペイントしたい人
完成品や昔組んだキットを塗り直すとき、このマスキング手順はそのまま使える。ただし古い塗膜の上にマスキングすると剥がれやすいため、事前にツヤありクリアーでコートしてから作業するのがポイント。下地が安定していれば古いキットでも新品同様に仕上がる。
シーン5:エアブラシを買ったばかりで初めてマスキングに挑戦する人
エアブラシを購入したばかりで「何から練習すれば?」と迷っているなら、このマスキング2色塗りを強くおすすめする。平面から始めてテープの特性を学びながら、エアブラシの圧・距離・塗料の濃度感覚を同時に身に付けられる。最初は端材や捨てパーツで練習するのが一番効率的だ。
やりがちな失敗5選と対処法
正直、最初からうまくいく人はほぼいない。でも「なぜ失敗したか」が分かれば次からはうまくいく。
失敗1:テープの端から塗料がにじんだ
原因: テープの押さえ不足、または1色目の乾燥が甘い。
対処: テープを貼ったら爪楊枝の側面でエッジを丁寧にこすって密着させる。さらに確実にしたい場合は「先塗り密閉テクニック」が効果的。6mmテープを貼った後、薄めた1色目の色をテープ際に先に薄く塗って隙間を塞いでから2色目を塗る。これだけでにじみがほぼゼロになる。
失敗2:テープを剥がすと塗膜が一緒に剥がれた
原因: 1色目の乾燥不足・塗膜が薄すぎる・完全乾燥後に強引に剥がした。
対処: 半乾きのうちに剥がすのが基本。完全乾燥してしまった場合は、テープの端をドライヤーで30秒ほど温めてから剥がすと塗膜への負担が減る(パーツに近づけすぎると変形するので15cm以上離すこと)。
失敗3:曲線部分のラインが波打った
原因: 長いテープを1本で曲線に沿わせようとした。
対処: 6mmテープを2〜3cmに短く切り、少しずつ重ねながら曲線に沿わせる。重ねる幅は1〜2mmで十分。根気がいる作業だが、これがきれいな曲線ラインへの唯一の近道だ。焦らず丁寧にやるしかない。
失敗4:境界線に「段差」ができて不自然になった
原因: 塗料が厚すぎてテープの端に段差が生じた。
対処: 2色目を薄く3〜4回に分けて塗ること。段差が気になる場合は乾燥後に1000番のスポンジヤスリで境界を軽くならし、クリアーコートで均す。段差も慣れれば「味」に変えられるが、最初は薄塗りを徹底する方がいい。
失敗5:マスキングゾルが固まってパーツから取れなくなった
原因: ゾルを厚く塗りすぎた・長時間放置しすぎた。
対処: ゾルは薄く1回だけ塗り、塗装後は数時間以内(最長24時間以内)に除去する。固まってしまった場合は、水で湿らせた綿棒でゆっくり溶かしながら丁寧に除去する。強引に引っ張るとパーツごと破損することがあるので注意。
仕上げでクオリティを底上げする
2色塗り分けが終わったら、仕上げ処理でさらに完成度を上げられる。ここを丁寧にやるだけで、同じ手順でも見た目が大きく変わる。
つや消しトップコートで統一感を出す
2色を別々に塗ると、質感(ツヤ感)がバラつくことが多い。最後にMr.スーパークリアー(つや消し)をパーツ全体に均等に吹けば、ツヤが統一されてグッと締まった印象になる。トップコートはガンプラ仕上げの中で地味に一番効果が大きい工程。トップコートの選び方も合わせて読んでほしい。
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スミ入れで立体感を追加する
塗り分けが終わったパーツにエナメル系塗料でスミ入れすると、モールドが浮き立ってリアリティが増す。ガンダムマーカー(スミ入れ用グレー・ブラック)を使えば、初心者でも簡単にスミ入れができる。塗り分けラインが際立って、プロが仕上げたような印象になる。
小さい差し色でアクセントをつける
センサー部分やバーニア内部など、細かい部分にメタリック系のマーカーで差し色を加えると全体の完成度がさらにアップする。タミヤのエナメル塗料「クリアーレッド」「クリアーグリーン」をセンサーレンズに重ねるのが地味に効く。ここまでやり切ると、完成後の満足度がまるで違う。
よくある質問
Q1:マスキングテープはどれくらいの時間貼ったままにしていい?
塗装後はできるだけ早めに剥がすのがベスト。最大でも24時間以内に剥がすこと。長時間放置すると糊がパーツに移ってベタついたり、テープを剥がす際に塗膜を傷めたりするリスクが高くなる。半乾きで剥がすのが理想だが、作業タイミングを逃した場合は24時間を超えないよう気をつけよう。
Q2:マスキングゾルとテープ、どちらを使えばいい?
基本的にはテープの方が精度が出やすい。直線・角張ったラインはテープが得意で、複雑な曲面・凹モールドの内側などはゾルが向いている。最初はテープだけで練習し、慣れてきたらゾルと組み合わせるのがおすすめだ。
Q3:筆塗りでもマスキングはできる?
できる。ただし筆塗りは塗料が厚くなりやすく、テープの端に溜まりやすいので注意が必要。薄めた塗料を少しずつ重ねる意識を持つと、にじみが出にくくなる。大きい面積より小さいパーツから練習するといい。
Q4:プライマーは必要?
ランナーから切り出した通常のABSまたはPSプラへの塗装なら必須ではない。ただし、金属パーツや改造で削った露出部分には「Mr.メタルプライマー改」などを使うと塗膜の食いつきが良くなる。マスキングテープを剥がすときの剥離リスクも下がるので、改造パーツを扱う場合は準備しておこう。
Q5:塗装に失敗してやり直したい場合はどうすれば?
水性塗料なら重曹水や専用リムーバーで落とせる場合がある。完全乾燥後ならMr.ペイントリムーバーやIPA(イソプロパノール)に一定時間浸けて溶かし、最初からやり直す方が確実。ラッカーシンナーに浸ける方法もあるが、ABS素材はクラック(割れ)が入る危険があるので絶対に使わないこと。
まとめ:マスキングを制した人がガンプラを制する
マスキング2色塗り分けは、一度習得すると「どのキットにも使いまわせる汎用テクニック」になる。最初は失敗しても全然OK。むしろ失敗から学べることの方が多いし、2〜3回やれば体が覚えてくる。
今回紹介した7ステップをもう一度まとめると:
- ゲート処理→ヤスリがけで表面を整える
- 明るい1色目を全体に塗って最低24時間乾燥
- ラッカー系クリアーで塗膜を保護コート
- 6mmテープで境界ラインを丁寧に貼り、18mmで広面積を覆う
- 暗い2色目を薄く3〜4回重ねて塗る
- 半乾きのうちにテープをゆっくり剥がす
- エナメルシンナーで修正→つや消しトップコートで仕上げ
この7ステップが基本形だ。まずは1パーツだけ試してみてほしい。「思ったより難しくなかった」という感想がほとんどのはず。
工具選びや基本的なガンプラ製作の全体像を確認したい人は、ガンプラに必要な工具リストをチェックしてみよう。マスキング系も含めて一覧にまとめてある。
今すぐマスキングテープを揃えて、次のキットで試してみよう。

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