「マスキングって難しそう」と思って、ずっと後回しにしてない?
実は、ガンプラを一気に”それっぽく”見せる最速の方法がマスキング塗り分けだ。素組みのまま放置しているキットも、2色塗り分けするだけで完成度が段違いになる。
ただ、正しい手順を知らずにやると、塗料がにじんだり、テープを剥がすときに塗装ごと持っていかれたりして心が折れる。この記事では、そういう失敗を事前に回避しながら、初めてマスキングに挑戦する人でもきれいに2色塗り分けできる方法を順を追って説明する。
- 必要な道具の選び方
- 基本手順(下地〜仕上げ)
- 曲面・細かい部分への応用
- やりがちな失敗パターンと対処法
マスキング塗り分けに必要な道具と基本の考え方
最低限そろえるべき道具リスト
マスキング塗り分けに特別な道具は要らない。ただ、道具の品質が仕上がりに直結するので、ここだけはケチらないでほしい。
必須アイテム:
- マスキングテープ(タミヤ製 No.87030 / 6mm・10mm・18mmの3種)
- デザインナイフ(タミヤ クラフトツール No.39)
- 綿棒・爪楊枝(境界線の圧着用)
- 塗料(下地色と塗り分け色の2色)
- Mr.カラー薄め液(筆塗りの場合)
あると格段に楽になるもの:
- マスキングゾル Neo(GSIクレオス Mr.マスキングゾル Neo):テープが貼れない入り組んだ部分に塗って使う液体マスキング剤
- スジ彫り済みのパーツ:スジ彫りの溝に沿ってテープを貼ると境界線がビシッと決まる
ガンプラに必要な工具リストにも工具全体の選び方をまとめているので、今後そろえていく参考にしてほしい。
マスキングテープの種類と選び方
市販のマスキングテープは大きく3種類に分かれる。
| 種類 | 代表商品 | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| 紙製(模型専用) | タミヤ マスキングテープ | 薄くて追従性あり・最もポピュラー | 直線〜緩やかな曲線 |
| 曲線用(薄手) | タミヤ カーブ用 6mm | 極薄で曲線に沿わせやすい | Rのきつい曲面 |
| マスキングゾル | Mr.マスキングゾル Neo | 液体。塗って乾かす | 複雑形状・丸モールド |
初心者はタミヤ マスキングテープ 10mm(No.87030)から始めるのが正解。安定して剥がせて、粘着力も適度。100円ショップのマスキングテープは粘着が強すぎて塗装を持っていくことがあるので注意。
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2色塗り分けの基本手順:下地から仕上げまで
STEP 1:下地色を塗る
マスキング塗り分けは「先に塗った色を守りながら次の色を乗せる」作業だ。必ず明るい色または広い面積の色から先に塗るのが鉄則。
- 下地処理:サーフェイサー(ミスターサーフェイサー1000)を吹いて表面を整える
- 下地色を塗装:全体に1色目(例:ホワイト)を吹く
- 完全乾燥させる:乾燥時間の目安はラッカー系で1〜2時間、水性アクリルで3〜4時間。指で触ってもベタつかなければOK
乾燥が不十分なままマスキングテープを貼ると、剥がすときに一緒に持っていかれる。「もういけるかな」と思ってから、さらに30分待つくらいのつもりでちょうどいい。
STEP 2:マスキングテープを貼る
- 境界線を決める:どこで色を切るか事前にシャーペンで薄く印を入れるか、スジ彫りラインを目印にする
- テープを切る:必要な長さより少し長めに切る。直線部分は長いテープ1枚で。曲線は細いテープを少しずつ重ねながら沿わせる
- 端から貼る:境界線の端から始めて、ズレないよう少しずつ押さえながら貼る
- 密着させる:爪楊枝の背や綿棒で境界線に沿ってしっかり圧着する(これが最重要)
圧着が甘いと塗料が毛細管現象でテープの下に入り込む。「しっかり押さえた」と思ってから、もう一度端から爪楊枝でなぞるくらいでOK。
STEP 3:2色目を塗る
マスキングが貼れたら、2色目(例:ダークグレー)を塗る。エアブラシなら薄く2〜3回に分けて吹くのが基本。一度に厚く吹くと、テープの際に塗料が溜まって剥がすときに段差やにじみが出る。
筆塗りの場合は、境界線に向かって筆を動かすのではなく、境界線から離れる方向に筆を動かすと塗料が浸み込みにくい。
STEP 4:テープを剥がす
2色目が半乾きのタイミングでテープを剥がすと、境界線がきれいに出やすい。完全乾燥後でも問題ないが、厚塗りになってしまった場合は乾燥後に剥がすとエッジが割れることがある。
剥がし方:
– テープの端をつまみ、塗装面に対して30〜45度の角度でゆっくり引っ張る
– 急いで引き剥がさない(塗装が一緒に剥がれる原因になる)
– 細かい部分はピンセットを使うと扱いやすい
ここまで読んで「道具をそろえたい」と思ったら、まずガンプラに必要な工具リストで全体像を確認してほしい。必要なものと不要なものが整理できる。
活用事例:こんな場面でマスキングが役に立つ
ケース1:HGキットの肩アーマーを白×赤に塗り分けたい
肩アーマーは「白ベース+上面だけ赤」みたいな塗り分けが多い。このとき、スジ彫りがある場合はそのラインに10mmテープを貼るだけで正確に決まる。スジ彫りがない場合は、先にスジ彫りを入れてから塗り分けると格段にきれいになる。ゲート処理のやり方でスジ彫りの基本も解説しているので参考にしてほしい。
ケース2:MGキットのフレームと外装を別々に塗りたい
MGは内部フレームと外装が分離できるので、塗り分けはパーツを分けた状態でそれぞれ塗るのが一番ラク。ただし、フレームが露出する部分(関節など)はマスキングが必要になる。関節周りは6mmの細いテープで丁寧に境界線を作ってから塗装する。
ケース3:筆塗り初挑戦で失敗が怖い
「エアブラシがないから筆塗りでやるけど、境界線が出せるか不安」という人は多い。マスキングテープを使えば筆塗りでも直線的できれいな境界線が出せる。ガンプラマーカーの使い方も参考にしながら、まずは1パーツだけ試してみよう。
ケース4:全塗装初挑戦でどこから手をつけるか迷っている
全塗装未経験の人が最初に取り組むなら、HGのシンプルなMS(例:ザクII)の肩アーマーだけ塗り分けるのがおすすめ。1パーツで練習できるから失敗しても心理的ダメージが少ない。うまくいったら同じ要領で全体に広げていく。
ケース5:以前マスキングして塗料がにじんだ経験がある
「前回やったらにじんでしまった」という人の多くは、圧着が甘いか、下地の乾燥が足りていない。圧着は「べったり押さえた」と思ってからもう一周爪楊枝でなぞること、下地の乾燥は最低1時間(できれば一晩)が正解。今回この2点だけ改善してみてほしい。
やりがちな失敗パターンと対処法
失敗1:テープの際から塗料がにじむ
原因: 圧着不足、もしくは一度に厚く塗りすぎ。
対処法:
– 貼ったあと必ず爪楊枝の背で境界線を5往復ほどなぞって密着させる
– 塗料は「薄く×複数回」。特に1回目は塗料量を少なくして乾かしてから2回目を乗せる
– エアブラシの場合、境界線に直角に吹かず、境界線と平行方向に吹くと塗料の回り込みを減らせる
失敗2:テープを剥がすときに下地の塗装が一緒に剥がれる
原因: 下地の乾燥不足、または粘着力が強すぎるテープの使用。
対処法:
– ラッカー系は最低1時間、水性は3〜4時間乾かしてからテープを貼る
– テープを貼る前に、手の甲にテープを一度貼って粘着を少し落としてから使う(「手貼り」テクニック)
– デザインナイフの刃を境界線に沿わせてカットしてから剥がすと、塗装ごと剥がれるリスクが減る
失敗3:境界線がガタガタ・歪む
原因: テープを曲線に沿わせようとして無理に引っ張って貼った。
対処法:
– 曲面には6mmの細いテープか、タミヤのカーブ用マスキングテープを使う
– 「テープを曲げる」のではなく「テープを短く切って少しずつ貼り重ねる」が正解
– 複雑な形状にはマスキングゾルを塗布して乾いたら剥がす方が綺麗に仕上がる
失敗4:境界線がシャープに出ない(ぼけたような境界になる)
原因: 下地色を1色目に塗ったあと、スプレー缶の距離が遠すぎて塗料が半乾きの状態でパーツに届いている。
対処法:
– スプレー缶はパーツから15〜20cmの距離を保つ
– 「薄くコーティングする感覚」で吹く。一気に濃く吹かない
– 境界線がぼけた場合は、乾燥後にデザインナイフで境界線をなぞって塗膜を切り、再度上からシャープに塗り直す
曲面・細かい部分のマスキング応用テクニック
球体・丸みのある面への対応
モノアイカバーや肩の丸いアーマーなど、Rのきつい曲面はテープが浮きやすい。ここで活躍するのがマスキングゾル。液体なので曲面に塗り広げて乾くとゴム状になり、そのままマスクになる。乾燥後はつまんで剥がせる。
使い方:
1. 筆でマスクしたい部分に薄く塗布
2. 15〜20分乾燥させる(完全に乾くと半透明になる)
3. その上から2色目を塗装
4. 乾燥後、ピンセットか指で端をつまんでゆっくり剥がす
細いライン・モールドの塗り分け
1〜2mm幅の細いモールドを塗り分けたいとき、テープでは幅が合わない場合がある。そういうときはスミ入れペン(ガンダムマーカー)を使った代替手法が現実的だ。塗り分けしたいモールドをスミ入れペンでなぞるだけで疑似的な2色感が出せる。完全な塗り分けにはならないが、完成時の見た目の差は思ったより小さい。
マスキングテープのカット精度を上げる
直線の境界線を1mm以下のズレで決めたいときは、テープをカットするのにガイドテープを使う。幅広テープをパーツに貼ってから、その端を基準にカッターで細いテープを切り出すと、フリーハンドよりはるかに精度が出る。
おすすめマスキングテープ・マスキング剤の比較
ガンプラに使えるマスキング製品を実際に試した中からピックアップした。
| 商品名 | 価格帯 | 特徴 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| タミヤ マスキングテープ 10mm | 約350円 | 定番。圧着しやすく剥がしやすい | ★★★★★ |
| タミヤ マスキングテープ カーブ用 6mm | 約450円 | 曲線専用。薄くて素直に沿う | ★★★★☆ |
| Mr.マスキングゾル Neo | 約600円 | 液体タイプ。複雑形状に強い | ★★★★☆ |
| ハセガワ トライツール マスキングテープ | 約400円 | 模型専用。タミヤに近い使用感 | ★★★★☆ |
地味に便利なのはタミヤのカーブ用6mm。直線部分にも使えるし、Rのある肩アーマーや頭部パーツの塗り分けで特に活躍する。初心者はまず10mmを買って、次に6mmを追加するのが無駄がない。
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塗り分けがうまくいったら、最後のつや消しトップコートで全体を統一感ある仕上がりにしよう。ガンプラのつや消し仕上げ:トップコートの選び方と吹き方で具体的な選び方と吹き方を詳しく解説している。
ここまで来たら実践あるのみ。まず手持ちのジャンクパーツか、新しく1個HGキットを用意して試してみてほしい。初心者向けHGキットの選び方で練習に向いているキットを探してみよう。
よくある質問(Q&A)
Q1. 塗料が乾く前にテープを剥がしても大丈夫?
半乾き状態(表面が触れる程度)のタイミングが実はベスト。完全乾燥後よりも境界線がきれいに出やすく、厚塗りになった際の塗膜割れも起きにくい。ただし、水性アクリル塗料は乾燥が遅いので、最低30分は待つこと。
Q2. マスキングテープが剥がれにくくなってしまった。どう対処する?
まず焦らずにドライヤーで30〜40秒温めると粘着が柔らかくなって剥がしやすくなる。それでも剥がれない場合は、デザインナイフの刃を寝かせてテープの端に差し込み、少しずつ浮かせながら引っ張る。無理に引き剥がすと塗装ごと持っていかれるので慎重に。
Q3. 筆塗りでもマスキング塗り分けはできる?
できる。ただし、筆塗りはエアブラシより塗料が厚くなりやすく、境界線に段差が出やすい。筆は境界線から外側へ向かって動かすことと、塗料を薄めに溶いて複数回重ね塗りするのがポイント。それだけでかなりきれいに仕上がる。
Q4. テープを貼ったまま放置すると問題ある?
ラッカー系・水性ともに、貼ったまま長時間放置(特に直射日光下)するとテープの粘着が強くなって剥がしにくくなることがある。マスキングしたら当日中に塗装・剥がしまで完了させるのが理想。どうしても翌日になる場合は直射日光を避けた涼しい場所で保管する。
Q5. マスキングゾルを使ったら剥がすときにちぎれてしまった
乾燥不足か塗りすぎが原因。完全乾燥(半透明になるまで最低30分)を確認してから塗装し、剥がすときは端を広めにつまんで引っ張る。薄すぎると剥がしにくいので、ゾルは0.5mm以上の厚みが出るよう少し多めに塗るのがコツ。
まとめ:マスキングは「圧着」と「乾燥」さえ守れば失敗しない
マスキング塗り分けの9割の失敗は「圧着不足」か「乾燥不足」のどちらかだ。この2点だけ徹底すれば、初めてでも驚くほどきれいな塗り分けができる。
最初は難しく感じるかもしれないけど、1回やってみれば「あ、こんなもんか」となる作業。失敗しても上から塗り直せばいいので、まずは気軽に試してみてほしい。
今日やること:
1. タミヤ マスキングテープ 10mm を1本購入
2. 手持ちのジャンクパーツか練習用パーツを用意
3. 1パーツだけ2色塗り分けに挑戦
これだけで、次のキット製作から一気にレベルが上がる。
関連記事も参考にどうぞ:
– スミ入れのやり方完全ガイド:初心者でも失敗しない方法
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